【MK雑談】シンデルの設定変更で変わった事とは?経緯と感想について語ります。

注:この記事にはネタバレが多く含まれます

 

先日、モータルコンバット11で新たに配信されたDLCキャラクター『シンデル』

 

彼女のキャラ設定が後付けにより変更されたことで賛否両論の意見が出て、一部で炎上と呼べる事態になってました。今回はその件についての経緯と、個人的な見解を書きたいと思います。

 

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一体何が起きたのか?

■ 後付け設定によりシンデルの過去と性格が一変し、その変更理由が「外見と設定が合わないから」と伝わって一部で騒ぎになった。

 

この変更を好意的に捉えるファンも居るものの、現在も設定変更とその理由の説明が釈然とせず、怒りが収まらないファンが多数出ている模様。

 

NRSスタッフから語られた変更理由は?

シナリオ・ナレーション担当ディレクターのドミニク・チャンチオロ氏が、この件に関してTwitterで質問したユーザーに対しての返答がこちら

 

 

まずはじめに、あなたの感じた失望を理解させてください。変更された内容を考えると、気持ちはよく分かります。その上で冷静に感想を伝えてくださり、ありがとうございました。それでは質問への返答をいたします。

First, let me acknowledge your disappointment. It’s understandable, given the nature of the change.I also want to thank you for calmly expressing your disappointment. It makes it much easier to respond. So here goes:


シンデル
(の設定)を書くために協議した時、彼女の思考・主張を選択しなければなりませんでした。我々にあった選択肢は、「悪しき女王」と共に歩むか、「悲劇の母」を受け入れるかの2択です。様々な理由があり、その両方を取り入れる事は出来ませんでした。その際、シェイクスピアの「マクベス夫人」、マイティ・ソー/バトルロイヤルの「ヘラ」、サンズ・オブ・アナーキーの「ジェマ・テラー」などを参考にしました。

When we sat down to write Sindel, we had to choose her “voice”, her point of view. Our options: go with “evil queen”, or embrace “tragic mother”. For various reasons, we couldn’t do both. We looked to Shakespeare’s Lady MacBeth, Ragnorak’s Hela, and Gemma Teller from Sons of Anarchy as references.


この変更によってシンデルとヒーローサイドの対立をより深め、シャオカーンの新たな一面を探り、キタナの自己喪失感を高めることが可能になったのです。

Among other things, this change gave us more grist for her conflict with the heroes, allowed us to explore a new side of Shao Kahn, and to heighten Kitana’s identity crisis.

 

余談:新生シンデルの参考になったキャラクター達

■ マクベス夫人

出典:ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「マクベス」

スコットランドの将軍マクベスの妻。本来は気弱な性格だが、欲に駆られて冷酷な女になりきり、夫に王殺しを唆す。

 

■ ヘラ

出典:マイティ・ソー/バトルロイヤル

神国アスガルドの支配を目論み、ソーと対立する死の女神。マーベル映画では初めての女性ボスキャラクター。圧倒的な力とインパクトのあるビジュアルで描かれ、視聴者からの評価も上々。

 

■ ジェマ・テラー

出典:サンズ・オブ・アナーキー

主人公ジャクソンの実母。バイカーギャング集団「サンズオブアナーキー」総長の妻で、男にも勝る凶暴さを持つ。家族のためなら手を汚すことも躊躇しない女性。

 

個人的にはこのリストに大ヒットTVドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」を代表する悪役女性キャラ、サーセイ・ラニスターが入ってないのが意外。子持ちの野心家である彼女は今作のシンデルと似た境遇なのに、名前が挙がらないのは視聴者からガチで嫌われているキャラだから?

■ サーセイ・ラニスター

出典:ゲーム・オブ・スローンズ

上流貴族ラニスター家の長女。強い権力欲を持ち、邪魔者には容赦しない恐るべき女王。その性格は冷酷無比だが、双子の弟と自分の子供達には愛情を持っている。

 

変更によって設定はどう変わった?

MK9~Xでの設定

エデニアの王妃でキタナの母。シャオカーンによりエデニアが征服された後、強制的に彼の妻となる。シャオカーンの魔手からアースレルムを守るために自身の命を犠牲にして結界を創るも、魔術師クァンチーに洗脳を施されながら蘇生させられ、魔界の軍勢の一員となってしまう。

MK11での設定

権力と富のためなら手段を選ばない悪女。語られていた悲劇は自国民と娘のキタナが謀反しないための偽りで、エデニアが侵略された時には夫を裏切って殺害、シャオカーンの妻となる。しかしクァンチーによって暗殺され(何故?)、アースレルムへの進入を阻む結界の源にされてしまう。この暗殺事件は全く気付かれず、周囲は突然自害したと判断した。

※MK11ではエデニア王ジェロッドを殺したと主張しているキャラクターが3人居るが、現時点では本当に殺害したのはシンデルという設定になった。

 

他のキャラクターとの関係性の変化

シャオカーン

MK9~X時代では「侵略者と一方的に搾取される被害者という関係でしたが、MK11時代では「対等な関係」になっています。シャオカーン自体もシンデルを重視しているようで、彼女のためであれば納得しなくとも言う事は聞いていたようです。

 

“俺が手に入れたかったのはジェロッドの妻だ 貴様はシンデルを宥めるため生かしておいたに過ぎん!”

キタナを生かしておいたのもシンデルのため。彼女と前夫との子供は必要ないため処刑しようとしたと思われるが、結果的に表向きは2人の間の実子として扱われる事になった。この台詞はエデニア侵略もシンデルが目的(の一つ)だったと取れるかな?

 

ちなみに戦闘前の2人の掛け合いでシンデルはシャオカーンの権力と強さが目的で結婚したと堂々と言ってますが、シャオカーンの方も両方に自信アリとアピールしてます。それに、色々あって婚姻関係が解消された後でもよりを戻したい様子。

が、何故かシンデルがクァンチーに暗殺されたとは信じておらず、それについては流石にシンデルもお怒り。暗殺された事を認めると、それを知らなかった自分がバカだと証明してしまうからだろうか?

 

キタナ

娘のキタナとの関係は・・・正直言って設定変更でおかしな事だらけになってしまった。MK9~Xでは「娘を想う母」だったんだけど、MK11では「言う事を聞かないなら躾も止む無し」といった感じ。

 

歴史の観測者ゲラスも「シンデルは何よりもキタナを大切にしていた」と発言していたが・・・

 

たとえ悪女でも自分の子供は愛してるというのはありえる話だけど、違和感はどうしてもある。シンデルの個別エンディングでも価値観の相違から拘束してるとはいえ、キタナを殺さなかったのは母の情と言えなくもないけど・・・。

でもクロニカを倒した後なら歴史を改変してキタナを自分に従う性格にしたり、洗脳したり出来るのにそれをせず、拘束してまで生かして傍に置くのはよく分からない。考えを改めたら拘束を解くつもりなんだろうか?もはや目が死んでるけどな・・・

ちなみに何故スカーレットがこの場に居るのかと言うと、シャオカーンの養女(※自称)だから。シンデルも10分程度しか面識がないミレーナをキタナと同様に娘と思っているようだし、この夫妻は家族の血縁関係についてはあまり気にしないらしい。

 

設定変更のメリット・デメリット

メリット

■ シンデルが悲惨な境遇のキャラクターではなくなった。

この変更でシンデルは国を征服して夫を殺した侵略者とは結婚せず、自害するまで追い詰められることもなく、蘇った後も洗脳されて従う運命からは逃れられました。ある意味で尊厳は守られたと言える

シナリオ担当のショーン・キッテルセン氏が変更について「誇りに思う」と言ったのは、こういう事柄についてでもあるのかな?

 

デメリット

■ 9~Xまでの話の辻褄が合わなくなり、今まで築いたシンデルのキャラクター性が壊れた。

シナリオの面ではDLCが出るまでシンデルの設定は過去作と同様のものだったので、メインシナリオや掛け合いで矛盾や違和感を覚える部分が多く出てしまいました。

性格については「自らを犠牲にしてでも他国を侵略から守り、蘇って記憶を取り戻してからは祖国と娘を取り戻すため、強大な敵に立ち向かった勇敢な母」だったのが「悲劇は全て嘘で、欲のためなら裏切りと殺人も厭わない悪女」になったから、ファンが怒るのも当然だよねぇ・・・Twitchでの公式生配信でもチャット欄は荒れてたしな・・・。

 

なお、過去作では洗脳されたキタナと戦わない(傷付けない)よう敵に捕まっても抵抗しなかったのが、今作では蛮人を奴隷として使役していないことに特に失望、躾と称して顔面に膝蹴りを入れてますえぇ・・・

 

変更理由を考える

オブラートに包まずに言うと、変更された理由は

① ポリコレ配慮

② 流行に合わせた

この2点じゃないかな、と個人的には感じました。搾取される女性って設定は今の大衆向けエンタメでは宜しくないし、格ゲーキャラがその設定では売り上げが悪くなりそうなのは割と予想できるしね!

 

もう一つ言うなら、上で書いたマイティ・ソー/バトルロイヤルの「ヘラ」と関連してるんだけど、おそらくWarner Brosはヘラのような人気のある女性ボスキャラを作ろうとしてクロニカを出したものの、あまり人気が出なかったので今度はシンデルにその役をやらせようとしたんじゃないか?とも思った。

 

ちなみにシンデルはMK9でヒーローサイドの軍を1人で壊滅させてます。ドーピングのおかげとはいえ、パワーはあるのよね・・・

 

旧作シンデルファンに救いはないのか?!

個人的にはそうでもないと思う。ここまで変えられてしまってはいるけど、このシンデルの話はDLCと戦闘前の掛け合いでしか見る事はなく、メインシナリオでは一切触れられてません

あくまで「DLCは別」と本編と切り離しやすいように配信されているので、無かった事にしやすい設計にはなってるかなと。

 

終わりに

ビジネスにおいて、時代の変化に合わせる事は何よりも重要!!

 

・・・ではあるけど、既存のキャラでやるには結構リスクが高い選択ではあったよね~。個人的にポリコレ配慮は(Xからだし)全然いいんだけど、シナリオライター・デザイナーの力量不足が違う方向への批判になりやすいと思うんで、その辺は腕の見せ所ですな

ま、シンデルの設定が今作限りになるのか、このまま続けるつもりなのか?!Warner BrosとNetherRealm Studiosがどう動くか、今後も注目です。

あと、スタッフの人達にSNSで攻撃するのは止めましょう。ツイートを送るのは「自分宛にこの文章が来たらどんな気持ちになるか?」と考えてからにしよう、なっ!

 

 


 おいしくてもそこまでは強くはならない。

 


 

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